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∫ 量子力学の行列形式 (3)
2011 / 04 / 20 ( Wed )
前回は、演算子を行列として表示するところまで書きましたが、
今回は、ようやく、対角化の話までもっていけそうです。
シリーズ物は、たいてい途中で放置される傾向が強いので、
今回は、頑張ったかも!(笑)


ハミルトニアンを2種類の基底を用いて、行列表示することを考える。

一つ目は、ハミルトニアン自身の固有状態 |k> を基底に取った場合。

Hkl = < k | H | l >      (1)

二つ目は、別の演算子Ωの固有状態 |μ> を基底に取った場合。

H'μν = <μ | H | ν >    (2)

演算子としては同じものであるが、単に行列として見たときには、
別の行列になるので、区別するためにプライム( ' )をつけた。

前回の議論からわかるとおり、
(1)は対角型となるが、(2)は一般には、対角型ではない。

基底を変換することによって、(2)から(1)の表示へ持っていければ、
数学的には、行列の対角化と同じ操作をしていることになる。

さらに、正規直交基底から別の正規直交基底への変換なので、
内積・ノルムを不変にするユニタリ変換である。
つまり、エルミート行列のユニタリ変換による対角化を行っていることになる。

このことをはっきりさせるために、もう少し詳しく考察してみる。

対角型になっていない(2)からスタートすることにして、基底の変換を考える。
基底 |ν> を 基底 |k> を使って表す。
基底は、どちらも完全系をなしていると仮定しているので、

|ν> = Σk ak | k >     (3)

のように展開形で書ける。

|k>の系列の一つの基底 |l> との内積を取ると、

< l | ν > = Σk ak < l | k> = Σk ak δkl = al

となるから、係数 al は、

al = < l | ν >

と書けることが分かる。これを(3)に用いると、

|ν> = Σl | l > < l | ν >

| l >< l | のように2回以上出てくる文字について、面倒なので、
Σlを省略する記法が存在して、それを適用すると、

|ν> = | l > < l | ν >  (4)

と書ける。
これをじっくりと観察すると、

| l >< l | = 1 (恒等演算子)   (5) 

となっていることが分かる。

全く同様に、<μ| についても、

<μ| = < μ | k >< k |   (6)

と出来ることが分かるので、(4)と(6)を(2)に代入すると、

H'μν = < μ | k >< k | H | l > < l | ν >

と書ける。
同じ式を次のように見ると、
やっていることは、単純に恒等演算子 | k >< k |と| l >< l |を挿入しているだけである。
(恒等演算子だから、式を変えないのは当たり前)

H'μν = < μ | k >< k | H | l > < l | ν >

ところで、中央に対角型(1)の Hkl が現れたのに気づく。

ここで、< μ | k > = Uμk という成分を持つ行列 U を定義。

< l | ν > = < ν| l >* = U+   より、

H'μν = Σk Σl Uμk Hkl U+

と書き表すことができて、結局、これは行列の積として、

H' = U H U+

と書くことができる。

Uがユニタリ行列であることを確認するには、
(5)の恒等演算子の性質を利用して、

[ U U+ ]μν = <μ | k >< k | ν > = < μ | ν > = δμν
[ U+ U ] kl = < k | μ >< μ | l > = < k | l > = δkl

となり、 U U+ = U+ U = E 

行列が有限次元の場合は、片方でよいが、
無限次元の場合は、両方を確認する必要がある。

というわけで、U+ = U-1 なので、

U+ H' U = H

となり、
エルミート行列 H'をユニタリ変換 U によって、対角化する操作と同じである
ことが確認できた。

以上で、このシリーズは終了の予定です。
教科書をまる写ししているわけではなく、
自分で論理を再構成して書いているので、
間違ってるかもしれません!要注意です(汗)
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